日付:2018年 5月 5日(土)~ 6日(日)
ルート:八ヶ岳 権現岳・東稜(バットレス) 権現岳東稜~権現岳~ツルネ東稜より下山

<1日目>
美し森P(10:15)→出合小屋(12:20) ※権現岳東稜取付まで下見
<2日目>
出合小屋(5:15)→ゴルジュ出口(5:52)→東陵合流(7:16)→リッジ前から登攀開始(9:06)→登攀終了(12:30)→稜線(13:10)→ツルネ分岐(14:04)→出合小屋(15:30-16:10)→美し森P(18:00)


GW後半は、K会長にイデッチ&私の3人で、北アルプスの山へ行く予定でしたが、天候不良のため断念。
GW最終の2日間だけが条件良く、1泊2日で行けるところ・・・
といったら、やっぱり八ヶ岳になってしまうのね~

八ヶ岳の冬季アルパインシーズンは、もうとっくに終わってしまっているので、何処へ行こうか迷いましたが、私の希望で「権現岳東稜」へ行くことに。
GW中ということで、さぞかし中央道も混んでいるかと思いきや、意外にも道中空いていて、静岡を出発して3時間で清里の「美し森駐車場」に着きました。


ゲートを越えて、ここから長~い林道歩きデス。


単調な林道を1時間ちょっと歩いて行くと、やがて砂防ダムが現れて林道も終わり。


その砂防ダムのところからは、明日目指す、△状の権現岳バットレスがよく見えました。


沢を何回か渡渉し、その度にイデッチが沈しないか?と、カメラでスタンばる性悪な先輩・・・


ゲートを出発して2時間で、ようやく出合小屋へ。


GW真っ只中、誰かしら他のパーティーがいるかと思いきや、意外にも意外、小屋の中はものけの空。
もう雪も無いですし、シーズンオフですかね~。


小屋から少し離れたところに、今回イデッチが担いできた、おNewの3人用テントを設営。
おNewのテントって、なんだか新築の家に泊まるみたいで、気持ちが良いね。
荷物をテントの中に放り込み、さっそく権現岳東稜の取付きまで下見する事に。


地獄谷の沢沿いをしばらく行くと「権現沢」の出合となり「ツルネ東稜」の看板も。
明日はこの「ツルネ東稜」を下って、ココに降り立つ予定です。


権現沢の右岸側をしばらく歩いて行くと、北斜面の左岸側には残雪も。


で、更に行くと二俣へ。この二俣の真ん中から派生する尾根が、今回登る「権現岳東稜」だ。
尾根の末端には薄い踏み跡もあり、偵察がてら登ってみることに。
しかし早々に岩壁が出てきて、ちょっと突破は厳しそう・・・ということで、左俣の沢床へ降りてみると・・・


深く切り立ったゴルジュが!これは凄い!
既に残雪は繋がっておらず沢歩きとなりましたが、難なく通過することができました。


そのゴルジュを越えた左岸側が、本命視していた東稜への取付き点だ。


上部の状態はちょっとわからないが、何となく踏み跡もあって、立ち木を伝っていけば何とか行けそう?
・・・ということで、明日はここから取付く事とし、下見も終了。
でもってテンバに戻って、やることと言えば・・・


もう、呑むしかないでしょう!
明日の成功を祈って、イデッチとビヤーで乾杯!


イデッチが持ってきたワインを空け、私が持ってきたウイスキーも空けて、今宵もほろ酔いに。。。
イデッチに「その後、あの娘はどうなったのか?」だとか、いろいろ職務質問したかもしれないが、忘れてしまいました・・・


翌朝・・・

夜が明ける前の3時に起きて、4時には出発する予定が誰も起きることができず、4時起床・・・あちゃ~~
しっかり朝飯を食って、結局、予定よりも1時間遅れて5時過ぎにテンバを出発。


正面には、朝日が射して輝く権現岳が!2日目も、山日和の良い天気となりました。


アイゼンも着けることなく、ゴルジュを通過し・・・


そして東稜への取付きへ。お約束通り、このルンゼを登っていきましたが・・・


これが悪い!
登っていくうちに、だんだん傾斜も立ってきて、おまけに上部のルンゼは染み出しもあって滑りやすく、かなり危険ということでロープを出す事に。


ルンゼをトラバースして更に右上を登って行き、根っこ+木登りで壁を乗り越え・・・


3ピッチで、ようやく尾根上へ。
取付きからこの尾根に乗るまで、1時間以上も費やしてしまいました。
雪が付いているほうが、アイゼンとバイルを効かせてガシガシ登れて断然早いと思いますが、落ちたら沢床まで一直線なので、悪いと思ったらロープでの確保は必要ですね~。


尾根上に無事乗って、ここから高度を上げて行きます。
スパッと切れ落ちた痩せ尾根個所からは、バットレスが良く見えました。


右手には赤岳の姿も。しかしGWだというのに、赤岳も雪が無いっス!


樹林帯から、やがてハイマツ帯へ。ハイマツの枝によじ登って通過していくと・・・


いよいよ、バットレスがお出まし。


そして、その先には、左右切れ落ちたリッジが・・・
リッジを渡るか?リッジ右の雪渓側をトラバースするか・・・
よく見れば、木を伝って雪渓へ降りれそう・・・
ここから、ロープを出して、私リードで右の雪渓側へ降りることに・・・
壁際を直上し、立ち木を伝って急斜面の灌木帯を登り、30mほど登ってピッチを切りました。


2ピッチ目も私リード。この草付きの壁がまた嫌らしいのなんの。落ちなくて良かった~。
ここも雪が付いてバイルが打ち込めれば、通過はそんなに難しくはないでしょう。


2ピッチ目の終了点(立派な立ち木)からバットレスを見上げる。雪は当然アリマセーーン!
さて、ここからがいよいよバットレスの岩稜帯。
Ⅳ級ということで、そんなに難しくはなさそうですが、初見ということもあるし、何があるかわからないアルパインルートということで、クライミングシューズに履き替えて、私リードで登って行きました。


岩もしっかりしていてスタンス豊富、ガバガバで快適。
ハーケン+リングボルトも豊富で、迷うこともありませんでした。
40m程伸ばしてリングボルトのある終了点へ。ラッペル可能な立派な終了点でした。

最終となる4ピッチ目も私リード。
その4ピッチ目は一転、壁が脆く浮石だらけ。壁もだんだん寝てきて難しさはありませんが、ハーケンも無く結構ランナウトしました。太い灌木に支点を取り、やっと人心地。


最終ピッチも40mほど伸ばし、ハイマツに終了点を構築。
アプローチシューズで、ここまで登ってきたK会長とイデッチも無事到着し、登攀終了。

K会長「アイゼンじゃあ、とてもおっかなくて、登れね~なあ」とボソリ。
「確かに、私もアイゼンだったらリードしないっス。」


左には権現岳のオベリスク。もう喉はカラッ空。メインロープを解いて、しばらくこの景色を見ながら休憩。


休憩後は、このリッジをハイマツに掴まりながら登っていきました。


そのリッジから見るこの景色。
左のピークは旭岳。その旭岳も東稜ルートがありますが・・・一体どこを登るのかな?


そして無事稜線へ!やりました~~。で、恒例のハイチーズ!
ここへ12時に到着する予定が、時間は既に13時を回り・・・まあ寝坊して、1時間遅れのスタートだったからオンスケかな?


天気は良いのに何故か?登山者は誰もおらず??GWの最終日だし、もう下山しちゃったのかな?


権現岳といえば、名物?のこの30mの梯子。
「まだ終わんねえぞー」とブツブツ言いながら、その梯子を下って行くK会長。


振り返って権現岳。南東斜面と違って、北斜面はやっぱ雪多いですね。


阿弥陀も赤岳も、もうすっかり夏山です。


またまた振り返って、こちらは旭岳。


権現岳から一般道のハイウェイを1時間ほど歩いて、予定通り「ツルネ東稜」経由で下山開始。


尾根が幾つも分岐していて道迷いしやすいですが、踏み跡と赤テープ、そして写真の古錆びた黄色の標識を忠実に辿って行けば、やがて道も明瞭になり・・・


ツルネから1時間ちょっとで、テントを張った出合小屋まで、無事下山することができました。

時間は既に15時半、テントを撤収し、ここから更に2時間のうんざりする林道歩きが始まる・・・
でもってその帰路で、思わぬハプニングがあろうとは・・・?

わたくし、沢の渡渉でバランスを崩し、沢に沈する大失態をやらかしました。
水に落ちる瞬間の一部始終を、後ろを歩いていたイデッチに見られ、笑われる始末💦


水浸しの私は、寒さに震えブルブルしながらゲートに到着。この林道歩きは長く辛かった~。

帰りは、ちょっとお高めの「大泉パノラマの湯」に浸かって体を温め、これまた高めの大泉にあるトンカツ屋に寄って空腹を癒し、私のGWは無事終了した。

権現岳東稜は、八ヶ岳の西壁と違って歩きごたえがあり、なかなかでした。
次は、是非積雪期に行ってみたいですね。