日付:2017年 7月15日(土)~ 16日(日)
ルート:尾白川本谷 ~ 烏帽子岳 ~ 日向八丁尾根より下山

<1日目>
林道ゲート(5:50)→入渓点(7:14-7:46)→鞍掛沢出合(8:15)→黄蓮谷出合(10:21)→巨石帯(12:41)→巨大CS滝(13:46)→CS滝上の岩櫓(14:30)
<2日目>
岩櫓(6:30)→30m大滝(7:33)→2200m二俣(9:38)→稜線(10:37-10:58)→烏帽子岳(12:12-12:30)→大岩山(14:39)→鞍掛山分岐(15:44)→林道ゲート(17:44)


「名水百選」という肩書きがあり、甲斐駒の北東面に源頭部を持つ尾白川。
7月の3連休は、K会長と二人で、この尾白川の本谷へ沢登りに行ってきました。

尾白川といえば「黄蓮谷」が有名ですが、K会長は夏に遡行したことがあるとのことで、ルートは「本谷」となったが、なんせ私にとっては初の甲斐駒の沢・・・つうか、南アルプス本峰から注ぐ沢自体が初めてだ。
ルーファイ、登攀技術、そして体力が課せられる長い山行、さて一体どうなるか?

前日夜に静岡を出発し、尾白川林道のゲート前にツェルトを張って、この日は前泊。
予定通り5時に起き、支度を済ませて6時前に出発。


尾白川林道から見る甲斐駒もご覧のとおりで、テンションア~ップ。
いや~、バッチグーの沢日和となりました。


錦滝を過ぎ、更に林道の奥へと歩いていくと、3つの荒廃した隧道が現れる。
これを越えると林道も終点となり、残置ロープがある踏み跡を辿って、尾白川の沢床へと下ります。


出発してから、ここまで1時間半。
営林署が自然破壊して造った遺物のおかげで、短時間でここまで来れるけど、林道が無かった時代は、さぞかし厳しい秘境の渓谷だったのかも・・・

登攀準備を済ませ、いよいよ遡行開始。


ナメ滝を幾つか過ぎると、先ずは「女夫滝」と呼ばれる10m滝が現れた。
滝左のスラブに取り付くと、これがフェルトだとまったくグリップせず、ズルズルしまくり。


溜まらず、残置ロープのある左のブッシュに逃げ込んだが、上部のスラブには残置スリングもぶら下がっており、何となく行けそうな感じ。
その上部スラブに取り付いてみるが、そのスリングに手が届くまで、あと30cm・・・というところで足がズルズル滑り始め、もうこうなると万事休す・・・
勢いよくスラブ上を滑っていき、5~6m下の滝つぼへ!ドッボーーーン!!!!

怖え~~~~初っ端からこれかよ~💦

幸いにして怪我はしなかったが、いきなり尾白川の洗礼を受けた私。
「もう怖いもの無しだな」なんて、K会長からも言われてしまう始末・・・


お次はワイヤーが掛かったハシゴ滝。ここはワイヤーの恩恵に授かりながら、滝の左を突破。


ハシゴ滝のすぐ上には、深くグリーンの釜をもつ4m滝・・・
しかし、こんな感じのスラブが、とってもいやらしい。
すっかり、自分のフェルト靴のフリクションに信用を無くした私は、左岸巻き。


ここからは「遠見滝」と呼ばれる連瀑帯に突入。巻き道を探すK会長。


右岸を高巻いていくと、綺麗な釜を持った大滝が見えました。
巻き道には残置ロープが随所にあったが、ルーファイが必要なところでもあった。


沢床に戻り、巨石があるところで、ここも左岸に巻き(K会長がいるスラブに残置ロープあり)。


沢床に戻ると、ロングスラブの「噴水滝」へ。
滝の基部が噴水のように噴き上がるとのことだが、この日はぜんぜん噴水ではなかった。
滝の左側であれば、ここはフェルトでも大丈夫。


ナメ滝を幾つか越えた後は、すり鉢のような釜を持った小滝が。


このすり鉢のトラバースが、またいやらしいのなんの・・・
フェルト靴のK会長も、遂にここで洗礼を受けました。
しかし落ちたら、なかなか這い上がれないんですよね~ココ。


お次の階段状の滝は、左から入って滝をトラバースして右側の落ち口へ。


K会長は、難しそうな滝の右側を突破。最後の落ち口の乗越がちょっといやらしい。




前方上部には「獅子岩」と呼ばれる奇石。逆層の絶壁の下を歩いて行きます。


ここも、エメラルドグリーンの釜を持った6m滝。


遡行開始から約2時間半で「黄蓮谷出合」へ。右が本谷で左が黄蓮谷。
朝も早かったので、ここでしばしの昼休憩。


それにしても、やっぱり沢登りは晴天に限りますな~!


沢は澄み切り、エメラルドグリーン。


でもって、ここ一帯はナメナメの連続で癒されまくり。


前方左上には、とんがり坊主の「坊主岩」が見えてきた。正面奥の山は「烏帽子岳」なのかな?


しかしまあ一面・・・いや全面、すごいスラブ岩ですな~坊主頭・・・じゃなかった坊主岩。


そして足元。沢床の岩を見れば、数m程・・・まるで道路のセンターラインのようなダイクが・・
自然の造形は、ホント不思議がいっぱいですね。


これも綺麗なナメ滝。このくらいの滝をフリーで登るのが、丁度良いかも。
相変わらず、フェルトはよく滑ってドキドキですが・・・💦


坊主岩の北面から注ぐ沢「北坊主沢」かな?

このあたりからナメナメの癒し系から、急にガラリと雰囲気が変わり・・・


いよいよ本日のクライマックス、巨石帯に突入!


しかし、これって越えられるのかしら~?


やっぱり越えられないので、ここは左岸を高巻き・・・
しかし左岸もだいぶ傾斜が立っていて、おまけにガレガレ&ザレザレで悪い。


右岸側は、威圧感ある巨大スラブ岩。当然ながらこちらには巻けない。


何とか左岸を高巻いて沢床に戻ると、目の前は両岸が迫るV字谷。
そして巨大なチョックストーン!!もうここから先は、巻ける道がアリマセン。


巨石の隙間や弱点を見つけては、一つ一つ慎重にクリアしていきます。


ドキドキしながらも、このルーファイがなんだか楽しい。


そして、いよいよ核心の巨大チョックストーンが目の前に・・・
目の前の小さな滝ですがフリーでは危険!・・・なので、ようやくザイルの出番です。


ここには事前の情報通り、滝口に沿って走るリス(岩の割れ目)に、ハーケンと残置スリングがあった。
スリングの強度を確認しつつ、K会長リードでA0で突破しました。


そして、この巨大チョックストーンの突破は、右壁との隙間のトンネルを登っていく。
ここも右壁が脆くザレザレで、最後の出口が特に緊張しました。


そして本日のゴールは、この巨大CS岩を越えたところにある岩櫓。
予定よりも1時間早く、到着できました。


で、まず到着してやることといったら、やっぱりビヤーを冷やすことですよね~。


緊張から解放され、焚き火の前で沢で冷やしたビールを「ぐびっ」とやれば、本当に人生の喜びを感じるのは私だけ?


稜線はガスっていたが、雨も降りそうに無さそうなので、櫓岩には持ってきたツェルトも張らず、ごろ寝しました。
寝床には何故かテーブルもあって、とても快適な櫓岩の一夜であった。

明日は更に沢を詰めて、いよいよ稜線へ。

続く・・・