日付:2019年 4月 6日(土)~ 7日(日)
ルート:南アルプス・茶臼岳 畑薙大吊橋~茶臼小屋一般ルート~鳥小屋尾根より下山

<1日目>
沼平ゲート(7:52)→ヤレヤレ峠(9:02)→ウソッコ沢小屋(9:53)→横窪沢小屋(12:00)→茶臼小屋(15:47)
<2日目>
茶臼小屋(7:09)→茶臼岳山頂(7:45)→鳥小屋尾根取付(7:56)→畑薙山(10:01)→鉄塔(11:04)→沼平ゲート(11:56)

今春は、息子の大学受験に引越しやらで、ちょっとバタバタしてましたが、それも一段落し・・・
久しぶりに「雪山でも歩きたいな~」と思っていた所に、トシゾーさんから「茶臼」のお誘い!
そのタイムリーなお誘いに二つ返事して、トシゾーさんにQちゃん&私の3人で、雪の南アルプスを歩いてきました。

朝5時過ぎに自宅を出発し、畑薙第一ダムの沼平ゲート前に到着したのが8時前。そのゲート前には、ズラリと車!?
「皆さん、まさか茶臼小屋へ?」なーんて思いましたが、この時期ここに来るのは、ほとんどが釣り師かな?


登山指導センターのポストに登山届を投函し出発。
青空はありますが風が強く、目指す稜線はご覧のありさま。


東俣林道沿いにはちょっと地味ですが、キブシが花を咲かせていました。
リニア関連の工事が始まり、工事車両が引っ切り無しに通り過ぎて行く度に砂ぼこりを浴びて、それが何だか腹立たしくなったりしつつも・・・


ゲートから40分ほどで「通行不可」のお達しが掲げられた、畑薙大吊橋のたもとに到着。
昨年の台風24号で、この先の吊橋が崩壊したことは、もちろん承知の上。


ヤレヤレ峠に至るこのトラバース道も一部ガレていて、ちょっと危ない状態でした。


Qちゃんのやれやれポーズに苦笑しつつ、ヤレヤレ峠を通過。


「通行不可」の原因となっている崩壊した1号吊橋と3号吊橋の脇には、仮の丸太橋が架けられていました。


崩壊した3号吊橋は、跡形も無し。


左岸側の沢沿いにあった登山道は見事に崩れ、砂利で埋まった沢床が、新ルートとなっていました。
が、沢床から梯子階段のある登山道へ至る高巻き個所は、落石多発のガレガレ。
ロープがFIXされて歩きやすくなっていましたが、ロープが無かったら、ここも間違いなく危険個所ですね。


梯子階段を登ってしばらく行くと、ウソッコ沢小屋に到着。
いつもホコリっぽく感じる小屋の中ですが、よく利用されているのか?綺麗に掃除されていました。


ウソッコ沢小屋のすぐ上流部、ウソッコ沢出合に架かっていた5号吊橋も、橋桁だけが残るのみ。
手すりに引っ掛かったままの流木が、何とも生々しい・・・


ここにも、仮設橋が架けられておりました。
でも沢が濁流ともなれば、直ぐ流されてしまうかも?


仮設の橋を渡って尾根に乗れば、そこから急登の始まり。
このN字に曲がった木も、健在なようで何より。
でもって、私は履いている冬靴が足に馴染んでおらず、左足のかかとに早くもマメの違和感が・・・


かかとに痛みを抱えながらも何とか登って行くと、まもなくして横窪峠に到着。


横窪峠からの眺めと言えば、上河内岳ですよね~。雪を頂いた山容が美しい!
掛かっていたガスもすっかり消えて、稜線もくっきり。


そしてもう一つ、見えてくるのが横窪沢小屋。
事前情報の通り、小屋へ至るトラバース道は崩落しており、跡形も無し。


雪が付いている事を良い事に、ここからアイゼン効かせて、急な崖を無理やり降りて行くことに。
落ちたらボチャンとなりかねない、沢沿いのトラバースがまた嫌らしい事!


無事突破すれば、横窪沢小屋へ。
気温も高めで結構体力を消耗しましたが、ヤレヤレと一息入れる事に。
・・・しかし本当の核心は、ここから先なのであった。


標高1800mを越えた辺りから雪の量もぐんと増え、いよいよラッセルに。
もちろんノートレースで、疲労感さらに倍増。

Qちゃんの体力を懸念して、今日は二人分の荷物を担いできたトシゾーさんでしたが、荷重を感じさせない程の結構なペースで、特攻隊長を務めてくれました。
トレースを付けてくれているのにもかかわらず、私はその後ろについて行くのがやっとこさの状態・・・
私の荷物も、半分担いでもらえば良かったかな~?


小無間~大無間の吊尾根が良く見える、見晴らしの良い休憩地点で、またまた一息。
「せっかくワカン持ってきたんだから、使わなきゃ~」ということで、ここからワカンを付けて、仕方なく私がラッセルする番に・・・


かかとのマメと、左膝に痛みを感じつつも、何とか登って行きましたが・・・
私は30分もラッセルしないうちに、とうとう膝の筋が攣ってしまい、ギブアップ。。。とほほ
膝を曲げれば痛みが走り、正直これ以上歩けやしないのでは?と焦りましたが、少し休めば痛みも少し治まり、何とか回復。


ということで、今度はQちゃんとバトンタッチ。しかし、Qちゃんも直ぐギブアップ。。。


左頭上には、茶臼小屋と茶臼岳のピークが見え始めるも、まだまだ遠いな~
でも、その後のトシゾーさんの頑張りで、何とか高度を稼ぎ・・・


そして、やっとこさトラバースポイントへ入ると・・・


待望の茶臼小屋が、頭上に・・・


トシゾーさんのおかげで、何とかかんとか無事、茶臼小屋に到着。
もちろん、小屋の中には誰もおらず貸切!
小屋は、階段上部まで雪で埋まっていました。


Qちゃんはトイレの状態を確認。向かって左から2番目のドアが冬季用のトイレ。
ドアの前に付いた雪をピッケルで撤去すれば、使えるようになりました。


で、先ずやることと言えばビヤーを冷やすことと、雪をかき集めて水を造ること・・・ですね。


二人分の荷物を担いできたトシゾーさんでしたが、しっかりと、この四合瓶をザックに忍ばせていました。
出張先の愛媛で仕入れたという、この純米吟醸生酒、袋搾りが独特のうまみと香りがして進むこと!
缶ビールに日本酒、そしてウイスキーと進めば、今宵も呑んだくれに・・・
疲れもあって、何時お開きになったかは定かではありませんが、秒殺でシュラフの中に沈みました。

翌朝・・・
小屋の窓から射す朝日の光で目が覚めました。よく呑んだおかげで、朝までほぼ爆睡。


少し雲があるが、天気はまずまず。
でも風は相変わらず強く、稜線はちょっとガスっている感じでした。


朝飯を済ませて荷物をザックにまとめ、茶臼岳の山頂に向けて小屋を出発。
この小屋は、本当にいつ来ても素晴らしいですね~!
営業している茶臼小屋には、泊まったことが無いですが・・・


稜線から吹き付ける風はメチャメチャ冷たいですが、気温はこの時期にしてはやや高め。
時々来る突風に立ち止まりながらも、斜面を一歩一歩登って行きました。


前方に茶臼岳。


そして後方には、上河内岳。


途中、鳥小屋尾根の取付にザックをデポし、空身で山頂へ・・・


無事到着。もちろん我々以外の人影あらず貸切!聖岳は、あいにくガスって見えず。


仁田岳にその向こうは、光岳。


積雪は大したことありませんが、この石標も3分の1程埋まっていました。


立ち止まると体が冷えてしまうので、早々下山開始。
下山は予定通り、クラシックルートの鳥小屋尾根へ。先ずは、眼下に見える畑薙山に向かって下って行きます。


鳥小屋尾根は、随所に目印あって迷いも無し。尾根筋も真っ直ぐでルートがわかりやすい。
積雪は膝下あたりで、多い所で股下までズボリ。
登りだったらきつそうですが、下り一辺倒なのでまだ楽かな。


右手には、2年半前に登った仁田岳の東南尾根。


畑薙山の手前にあるキレット箇所。左の樹林側をトラバースし通過。


緩やかな斜面を登り返せば、畑薙山のピークに到着。展望無く、古びた木の標識と三角点があるのみ。
畑薙山からの下りがこれまた急で、このあたりで膝も疲労困憊に・・・


大きな崩壊個所からは、畑薙湖の展望。ここまで来ればあと一息。


更に下って行くと、鳥小屋尾根の起点となる鉄塔へ。茶臼の山頂からここまでの標高差は1550m。


鉄塔からさらに下れば、畑薙大吊橋に出て無事下山。


沼平ゲート前にて、いやーそれにしても下界は暑い!
と思ったら、この日の静岡の最高気温は4月上旬にして、ナント27℃だったとの事!!
そりゃ~暑いわけだ!

帰りはもちろん、白樺荘の温泉へ。
帰りの運転手のQちゃんには、大変申し訳ありませんでしたが・・・


またまたトシゾーさんと乾杯してしまいますた。

このところの運動不足が祟って、ラッセルで膝痛になった私の足も、どうにかこうにか2日間何とか動いて、久しぶりにがっつり歩いた感のある山行でした。
それにしても、茶臼はいつ登ってもキツイ!黒戸尾根よりもキツイんじゃないかと思う程・・・
としぞーさん、お誘いありがとうございました。そしてラッセルも・・・
肩の手術が終わったら、また山に行きましょう!