日付:2019年 9月14日(土)~ 16日(月)
ルート:大井川水系 赤石沢本流~北沢

<1日目>
椹島(7:36)→赤石沢橋・遡行開始(7:50)→取水堰堤(11:48)→北沢出合(12:07)
<2日目>
北沢出合(6:37)→15m滝下(7:57)→連曝帯の20m滝下(9:06)→最後のゴルジュ下(12:34)→登山道2700m付近(14:54)→赤石小屋(16:10)
<3日目>
赤石小屋(6:50)→椹島(10:43)


翌朝、4時過ぎ起床。

随分と日も短くなって、外はまだ暗闇。
お酒を良く呑んだおかげで朝までぐっすり、体調も良好。


焚き火の残り火に薪を入れれば直ぐ炎も大きくなり、暖を取りつつコーヒーを入れる。
朝食を済ませてテント撤収し、6時半にテン場を出発。

2日目の捜索は、いよいよ本命の「北沢」。
標高差1200mを詰めて、尾根からの下降チームの皆さんがいるであろう源頭を目指します。
初日の本流は、水量少なめの楽ちん突破でしたが、北沢からは傾斜がきつくなり、登攀能力およびルーファイと判断力が課せられます。


先ずは、2段5m+10mの滝へ。


ここは昨日、トシゾーさんと野Tさんが偵察がてら、左岸の草付きにロープをFIXしてくれたおかげで、安心突破。


続いて5mスラブ滝は、滝左の泥壁&草付きを登って行きました。


しばらく連瀑が続き・・・


15m程の滝の登攀はちょっと厳しく、左岸のルンゼを高巻き。。。


ガレガレの草付きで浮石が多く、一人一人間隔を開けて登りました。


明瞭な獣道を辿れば、沢床へ復帰。


その後は、傾斜の緩やかな連瀑帯。


標高1900m付近にある立派な「3段40m」の大滝は、登れる代物ではなく左岸を高巻き。


高巻いて下を覗けば、確かに3段・・・いや4段?
トラバースに入ると幸いにも獣道があり、そこをたどると無事、連瀑の落ち口の上に出ることができました。
沢でもアルパインでも絶対的な信頼のあるトシゾーさん、ナイス・ルーファイ!


10m程の滝は、左岸側をロープ出して突破。リードはトシゾーさん。
随所にクラックがあり、カム#0.1~1を使用。


後続のフォローは安心快適・・・ビレイありがとうございます!


無事登って「やれやれ」と、安心するのも束の間、またまた滝の連続!


ここも左岸のルンゼを登って大高巻き。
落ちたら沢床一直線なので、厳しいところはロープで確保しつつ突破。標高差で150m以上は登ったかも?


獣道をトラバースしていくと、傾斜の緩い沢筋にぶつかり、そこから沢床へ降り立つ事ができました。ここもトシゾーさん、ナイス・ルーファイ!
渓相もだいぶ穏やかになって、怖い高巻きも終わりか?と思いきや・・・


またしても、深く切り立ったゴルジュが目の前に!これは凄い!!
遡行図には「3段50m右巻」とあり、それに倣って左岸高巻き。


このゴルジュの沢床も、捜索のチェックポイントになるかもしれませんが、人が入るのは、なかなか厳しいところかも・・・?


深いゴルジュを大高巻きして沢床に戻れば、やれやれと一息。
・・・と、突然、前を歩くトシゾーさんが、何かを発見??


何かと思ったら、飛行機のプロペラの残骸。
赤石岳の南斜面には、戦時中に墜落した爆撃機の残骸が、至る所に落ちているとの事。合唱・・・


雪渓も本当にわずかですが、残っていました。


シナノキンバイのお花畑も、ちらほら。


傾斜も落ち着き、左右が開けると、ようやくゴールとなる待望の稜線が!
上にいる尾根チームからは、我々の姿が見えたという無線連絡。
「お~い」と手を振る、尾根チームのM月さんの姿を見つけました。


バックに見えるは、白峰南嶺「笊ヶ岳~青薙山」の稜線。
源頭部を見届け・・・


最後の詰め、ガレガレできつかった~


そして、標高2700m付近の登山道に合流し、無事完登!


既に捜索を終えて登山道で待っててくれていたM月さん、N倉さん、A堀さんの尾根チーム、そして沢チームの皆さんとも硬い握手をして、捜索を終了しました。
2日間とも良い天気に恵まれ、事故怪我もなく、無事目的を達成できたことに大満足。

この日は、遺留品と思われる折り畳みのマットを発見しました。
恐らくは、ここから滑落したのではないかと思います。
既に1年以上も経過しているので、残念ながら遺骨発見とまでには至りませんでしたが、我々チームは最善を尽くしたと思います。


富士見平から、振り返って赤石岳の頂。
ここから見る「ラクダの背」は、夏でこそ「ラクダのコブ」のように見えますが、冬はナイフリッジとなって厳しくなるんだろうな~と、しみじみ思いつつ下山しました。


8月の大縦走では、ガスって全く見えなかった荒川三山も今日はくっきり。悪沢いい山ですね。


富士山バックに、捜索チーム一同、皆さんの充実した顔が良いですね。
この富士見平には、墜落した爆撃機の慰霊碑が、ひっそり立てられていました。


すっかりお日様も西へ傾き、16時過ぎに赤石小屋へ到着。まさか、テン場は既に一杯??
・・・な~んて心配がよぎりましたが、なんとか場所確保。


テント張って、濡れた沢服を全部脱いで落ち着けば、今日は皆さんと静かに献杯!
元県警山岳救助隊のN倉さんに、遺留品の発見場所を報告中。


夕日に聖岳と兎岳のシルエット。ここから見る兎岳は、なかなかピラミカルですね。


3連休の中日ということで小屋は激混みでしたが、小屋の管理人T橋さんのご厚意で、夕飯を提供いただく事ができました。
今日の夕飯は名物の生姜焼き、ありがとうございます!


夕飯の後は、M月さん&A堀さんのテントで三次会?
ラムに日本酒、ウォッカと・・・今宵も吞んだくれてしまいますた。。。


3日目。

未明から小雨が降り出し、フライシートを叩く雨のポタポタ音で目が覚めました。テントの外はガスガス。
今日は下山するだけなので、ゆっくりテントの中で寝ていたかったのですが、小屋の朝食準備が5時半ということで、5時起床。
小屋泊された方は既に出発されたようで、小屋の中はものけの空・・・皆さん出発が早いのね~。


管理人のT橋さんと一緒に記念の一枚。僅かな時間でしたが、お世話になりました。

時々小雨が降る中、A堀さんのキノコ教室も交えつつ、ゆっくりと下って11時には椹島へ無事下山。
遺留品は、椹島に駐在されている県警の山岳救助隊の方へ引き渡し、私たちの捜索任務は終了しました。


帰りは、勿論「白樺荘」の温泉へ!
帰りは運転してくれるという野Tさんには、大変申し訳無かったですが、遠慮なく「生」をゴチになりました!m(_ _)m


白樺荘の食堂口の壁に貼ってあった、野Tさんの紹介記事!?あらら、有名人なのね~(ってフルネーム出ちゃった)。
皆さん!強くて優しい野Tガイドを是非、ご贔屓に!


北沢は予想通り滝の連続で、全てが登れる代物ではありませんでしたが、久しぶりに沢登りを満喫することができました。
トシゾーさんを始め、M田さん、野Tさんには大変お世話になり、同じ時間を共有できたことを誇りに思います。

尚、今回の遡行では、「ウィークエンド・クライマーのチラシの裏」さんのブログにあった遡行図が大変参考になりました。ありがとうございました。

警察の方の話だと、回収した遺留品が行方不明者ご本人の物と判断し、死亡が確定するか否かは裁判所の判断に委ねられるとの事でしたが、今回の捜索が、ご家族のお役に立てられることを切に願います。
亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、家族やご親族の方にお悔やみを申し上げます。