日付:2019年11月 2日(土)~ 4日(月)
ルート:南アルプス 仁田岳東南尾根~寸又川左岸稜(光岳~信濃俣~大根沢山~朝日岳)

※畑薙第一ダムに前泊
<1日目>
信濃俣大吊橋(5:54)→大ヨギ沢の頭(9:24)→仁田岳(12:18)→易老岳(13:55)→光岳小屋(15:49)
<2日目>
光岳小屋(5:50)→百俣沢の頭(6:31)→信濃俣(8:43)→大根沢山(12:52)→アザミ沢のコル(13:50)
<3日目>
アザミ沢のコル(5:52)→鹿の土俵場(8:47)→千頭ダム分岐点(11:07)→朝日岳(13:20)→寸又峡温泉(15:37)


3日目、4時起床。

よく呑んだおかげで、朝までぐっすり眠ることができました。
私のマットレスは、やっぱり朝にはぺったんこ。う~ん、やっぱりパンクしてるのかなぁ~?
標高2500mの光岳小屋の一晩はとても寒かったですが、アザミ沢のコルは標高も2000mを切り、昨晩と比べれば全然寒くない。
ここは水場が近くにあって風も避けられ、平坦で焚き火もできるという、四拍子揃ったテン場に適した良いところでした。

3日目の最終日は、寸又川左岸稜を更に南下して、目指すは朝日岳、そして夏の大縦走で叶わなかった「寸又峡温泉」に下山する予定。
寸又峡温泉まで迎えに来てくれるトシゾーさんの奥様Qちゃんとは、寸又峡温泉ではなく朝日岳の山頂で、12時頃落ち合う約束。
朝日岳は、寸又峡温泉からだと標高差1300mも登らなくてはならないので「Qちゃん、大丈夫かな~」と少し心配していたトシゾーさんでしたが、その計画を(半分強制で?)決めたのはあなたですよ~!


朝食を済ませて、6時前に出発。
早速、標高2170mある「小根沢山」の急登となります。薄っすらと朝焼けする後方の山は「大根沢山」。


小根沢山の北側は、圧倒されるほど断崖絶壁の大ガレの縁を歩きます。
ここは4年前に、頭上のガレ場の縁にテントを張った思い出のある場所。


このガレ場は、深南部の山を一望できる素晴らしいところです。


後方には、朝日を浴びた大根沢山。その向こうには光岳とイザルガ岳。


「山沢根?」と、思わず左から読んでしまいましたが「小根沢山」の標識を通過、標高は2127m。


一旦コルに降りて、次なるピークは「三方嶺」。


この三方嶺も西側が大崩落。
山の上部がこんな状態ですから、この直下にある「寸又川左岸林道」も廃道になる訳です。


ここは、深南部のほとんどの山を見渡せる展望地。
前黒法師~黒法師~丸盆~鎌薙の頭~不動岳、そして更には黒沢山~中ノ尾根山~鶏冠山~沢口岳、そして光岳と続き・・・
「いつかこの稜線を繋げてみたい!」という思いが込み上げてきます。難所の鎌ナギはありますが・・・


はるか向こうに、深南部の水窪山域。


今回縦走してきた深南部「寸又川左岸稜」の山域。


南に見える筈であろう「風イラズ」や、これから目指す「朝日岳」はガスって見えず。


三方嶺の山頂にあったシラビソの木は、4年前は健在でしたが、台風の影響もあってか?西のガレ側ではなく東側へ根こそぎ倒れていました。
更にガレの浸食が進めば、いつか倒木も下に落ちてしまうのでしょう。


東に見えるは「大無間山」。


ピンクテープを頼りに、背丈の低い笹原を下っていきます。倒木が隠れているので注意が必要。


コッパ沢の源頭近く、峠状の「三方窪」付近。
尾根筋から外れてだだっ広いルンゼを適当に下っていきますが、コースマークらしきものを見つけることができませんでした。


「三方窪」からの登り返しも、非常に不明瞭。
獣道を適当に行くと、青テープを見つけることができました。


1883m峰はピークは通らないのですが、三角点があるのを確かめに寄り道し、現在の地図上の位置を確認。


「鹿の土俵場」と呼ばれる、だだっ広い尾根。
広い尾根がゆえに、ガスっている時は道迷いをしそうな所です。


1883m峰から40分程歩くと、見えてくるのが造林小屋。
ここは、トシゾーさんにとっては忘れることのできない、思い出ある小屋だとの事。

8年前の冬、野Tさんと二人でこの小屋に泊まり、野Tさんが担いできた3Lのワインを二人で空けてしまったとか・・・
明け方に、出るもの全てを吐き出し、小屋のベンチに座って冬空を見つつ(二日酔いで)一人途方に暮れていたとの事・・・
ホント呑兵衛は、こういう失態の思い出ばかりが、記憶に残ってしまうのね~
(あまり、人の事言えませんが。。。)


1800m台を平行する稜線は、とても雰囲気が良い所。
笹原の緑のじゅうたんと紅葉がうまくマッチして、とても良い感じでした。


1838m峰(日向山と呼ぶらしい)を過ぎ、明瞭なピンクテープがバンバン出てくるようになり、順調に進んでいるかと思いきや?
なんか、どんどん標高を下げてしまっているような・・・
地図を見れば、ルートを外して南西方向に派生する尾根に入ってしまった模様・・・あちゃ~
この尾根は「千頭ダム」へ至る登山道のようで、ピンクリボンがべたべた。
(後で調べたら、「コナラホツ」というルートでした。)


結局、標高差で200m程の登り返しのアルバイトをする羽目に。
大木には「千頭ダム→」と書かれた古いテンプレートが・・・


間違った分岐点をよく見れば「千頭ダム→」と記載された黄色のテープもあるし・・・
トシゾーさんのいる尾根沿いが正規ルート。右のピンクリボンに見事誘われてしまいました。

この登り返しで1時間ほどロスってしまい、約束の12時までに朝日岳山頂へ辿り着けるかどうかは、ちょっと微妙に???
まあ、焦っても仕方がなし。ここから先は、かなりの痩せ尾根となり慎重に進みます。




シロヤシオやカエデ類の葉っぱが、とてもキレイ!


1717m峰南側のコルは、左右切れ落ちた激痩せ尾根。
標高差200mある朝日岳の登りが、これまた藪藪&しかも急登・・・
山頂目指してもくもくと登っていくと・・・誰かの声がする??


やはり声の主はQちゃんでした。最後のピーク「朝日岳」無事到着。
時刻は13時前、Qちゃんは12時前には山頂に到着したとの事なので、1時間も待たせてしまいました。
ルートミスによる登り返しが無かったら、ちょうど同じ時刻に合流できたのでしょうけど、待たせてしまってゴメンね~!


4人無事揃ったところで、ハイチーズ!
朝日岳の山頂は、展望無し。Qちゃん以外に一人しか登山者がいなかったとの事・・・藪マニア向けの山ですね。
山頂はだだっ広いので、今回の逆コースを辿ろうとしたら、降り口が分かりづらいかもしれません。


ここから「寸又峡温泉」までの下山ルートは一般道なので、あとは標高差1300mを下るのみ。
朝日岳の登山道も、一般道とは思えないくらい、これまたガレガレ急登ですね~。


広葉樹が多く、西日を浴びた紅葉が色鮮やかでした。


黙々と下って、大間ダムも見え始め・・・寸又峡まで、あともうちょい。


膝ガクガク&足パンパンでしたが、2時間で駆け下り、無事下山。


寸又峡温泉は紅葉シーズンということもあり、観光客で賑やか。
人気の無い深南部から帰ってくると、そのギャップに驚いてしまいますね~。
下山したら、もちろん温泉へ直行!


貸切りの露天風呂に浸かった後は、皆さん腹ペコということで、蕎麦屋「手づくりの店 さとう」さんへ。
「わさび蕎麦」が名物らしいですが冷たい蕎麦なので、私は暖かいとろろ蕎麦大盛を注文。
これに生ビールがあれば最高でしたが、私もトシゾーさんも帰りの運転があるので、今日はお預け。

腹も満たしたところで、帰りは、スタート地点の畑薙第一ダムに戻って車を回収。
しかし、南アルプス公園線の夜道は、なんと動物が多いこと!鹿はもちろん、タヌキにキツネ、テンもたくさん遭遇。
鹿って車が近づいても、ヘッドライトの光しか見えていないようで、逃げようとしないんですよね~。
ぶつかったりでもしたら、一溜りもありません。

畑薙第一ダムから2時間、21時半前に新東名の新静岡IC前に到着し、車で東京へ帰るAiさんと別れました。
Aiさんの運転がチョットというか、だいぶ心配でしたが、途中仮眠をとりつつ、明け方3時?には自宅に辿り着けた様子(内心ホッ)。

トシゾーさんと共に、目標だった「黒戸尾根~寸又峡温泉」を繋げることができて、ようやく南アルプスの大縦走を完結することができました。
Aiさんも、夏に大縦走した北沢峠~光岳から、更に寸又峡温泉を繋げることができ、満足された様子。
藪漕ぎから始まり、水汲みに焚き火と・・・じんわりと味のある山行だったのではないかと思います。

改めて深南部の山は、あの独特の雰囲気が最高に良いですね~。誰とも合わず、完全アウエーな山域。
「寂しくない?」とよく聞かれますが、それがいいんです!
トシゾーさん、Aiさん、お疲れ様でした。また次なる山へご一緒しましょう!